早速今回の相談を読んでいただいて私のバズーカ砲を受け止めていただきましょうか。
めいみさん
現在、小1小3の娘の母親です。
うちは、今のところ、受験の予定はないのですが、子供の勉強とどうかかわっていくか、と日々苦闘しているので、ストロング先生のメルマガは、とても参考になり、ファイトが沸きます。
それで、ストロング先生に、メルマガの話とは、ちょっとずれてしまうかもしれませんが、お聞きしてみたいことがあります。
今年3年生になる長女の教科書や学校の勉強をみていて、わいた疑問なのです。
はたして、学校の勉強だけで、子供たちには十分なのだろうかということです。それだけでは、先生にはわかりにくですよね。
うちは、主人が、娘たちに描いてる進路というのは、公立小学校中学校、高校、そして大学、もしくは留学。塾は、本人しだいで、親からは与えなくても良い。
私としては、公立小学校中学校、高校、できれば、大学にもすすんでほしい。塾は、必要に応じて。
でも、公立の学校って今、ぜんぜん勉強してる感じがしないんです。
バックナンバーでも、最近の塾は4年生から、3年でプログラムされてるっていう話がありました。ということは、来年かあ。と漠然と思ったのです。
もし、小学校の勉強が、まったく足りないなら、うちも塾をさがしてやらなければなりません。でも、私自身が、その見極めができないでいるのです。
長女は、学校の勉強はできるようで、国語や算数は、だいたい90点くらいは取ってきます。家でも、私と一緒に3年生のドリルを1週間のうち5日は、30分くらい集中してやっています。
将来、ものすごい高望み(東大とかね)をしないくらいの進路の希望を、学力が全く足りない、というようなあきらめ方をしてほしくないのです。
基礎学力は、ある程度つけさせてやりたい。ストロング先生、私学へいけば、能力はあがるんでしょうか。
遊ぶことも貴重。友達との交流も大切、とおもうと受験はしたくないのが、親としての考えなのです。
公立って、だめなんですか? 質問がわかりにくかったら、すいません。
お子さんに進んでほしい道があり、青写真はあるけれど、その青写真を実現するための現在地はよくわからない…..というところでしょうか。
「今の公立の学校の内容って、どうなんでしょう?」と。
この質問は以前メルマガで書いた塾は何年生から行けばいいのか?といういう質問と同じで、答えも正解もないです。
公立の学習内容がピッタリの方もいれば、もの足りない方もいるし、一方でついていけない方もいる。それぞれの今の子供の学力の現状によって「どうなのか」は千差万別、百人百様じゃないでしょうか。
「もの足りないですねえ!」
「ピッタリです!」
「厳しくてついていけません!」
全部正解です…(◎_◎)
あとは、お子さんの勉強の様子を観察して、もの足りなければ、もっとやればいいですし、ピッタリで満足なら、それでよし。
めいみさんは、公立ってひと括りで書いていらっしゃいますが、公立でも、今は全国各地でずいぶん違ってきていると思いますよ。
実際、公立の学校でも、先生によっては、学習指導要領の内容を越えて、突っ込んだ内容の授業をしている先生もいます。その際は、教科書の内容を越えているので、プリントなんかを使っているようですね。
えーーー、これ学校でもらってきたの?というプリント類を見るのも少ないくないですしね。
中には、プリント類を出してしまうと、難しすぎる!教科書に載っていない!なんて父兄からすぐにクレームがあったりするので、黒板に問題を書いてノートにやらせる知恵者の先生もいます。
これならば、クレームはこないでしょ!(^^)!
つまり、公立といっても、先生によっても随分違うと思います。さらに、公立の小学校、特に低学年では、あまり目立った動きは多く聞きませんが、中学校などでは、意識の高い先生は、塾に行かなくてもイイくらいの内容をやっているのをちょくちょく目にします。
まあ、脱ゆとりの新しい学習指導要領も施行になりましたし、私たち親世代と同等かもう一歩踏み込んだ内容になったので、あんまりラクってわけでもこれからはなくなるでしょう。
めいみさんの場合であれば、「長女は、学校の勉強はできるようで、国語や算数は、だいたい90点くらいは取ってきます」とのこと。
90点取っていたら、本当に「できる」と言えるんでしょうか?
考え方というのは大きく広げて考えるやり方もあるだろうけれど、より細かく考えていくやり方もあります。そのより細かく考えるやり方で考えると「90点取っていたら本当にできると言えるのか」なんかになっていくでしょう。
小学校時代、常に90点以上を取っている子供が中学に入ったら、低空飛行している例はよく目にします。中学校の先生から「今の小学校の成績評価はまったく当てにならない」と愚痴を聞かされることも多いのです。
めいみさんは、中学受験は考えていないようですから、成績や評価や理解度は塾に行かなければ、学校のテストだけになってしまいますから、その点は注意しておかないと、小学校のときはできていたのに・・・という可能性もありますぞ。
というのも、公立小学校の配点ですと、2問くらい落とすともう90点でしょう。逆の言い方でいえば、少ない問題数のテストで、2問も落としていると考えることもできますし、現にそう判断して悩んでいる親の方も多くいらっしゃる。
公立の内容はどうなんだろう?と正解のない悩みを考える前に、なぜいつもあと10点を落としてしまうのか?を考え、100点になるために、何をすべきかを考えてみるほうが有益と思いますよ。
先日、小3生で学校の勉強はいつも100点の子供を見てましたら、こういう問題をやっていました。
掛け算の穴埋め問題です。
□9□
×□3
————–
□6□1
□5□8
————–
3□5□1
掛け算の筆算ですよね。この問題、小3生がウンウンうなって考えているわけです。考えるのはいいんです。
で、ヒント出しながらちょび聞いてみると…(◎_◎)
なにが…(◎_◎)かというと、この問題、見てもらったら分かるとおり、最初に「3の段」の九九で一の位に「1」がくるものを探しますよね。
そう「3の段」で一の位に「1」がつくのは、「3×7」の1つだけです。
なので、問題の一番上の右の空欄には、「7」が入ります。まあ、そんな答えなんかはどうでもいいんです。
それよりこのお子ちゃまは、「3の段」で一の位に「1」がつく九九は?となにかなと考えるときに、「サンイチガイチ、サンニガロク・・・」と順番に上がって、「あっ、サンヒチニュジュイチね」とやっていたわけです。
その他の九九も全部順番にやっていって見つけるわけです。すぐに「3×7=21」が思い浮かばないんですなあ。
もちろん九九はちゃんとできている。最初はいいんですよ、それでも。でも、いつまでもそれじゃいけない・・・
それに気づけば、九九の中で、すぐに飛べるように練習すればいいわけですから。でも、今はすぐに「3×7=21」に飛べないわけです。
で、このまま九九はできるけど、一気に飛べないまま、学年が上がるとします。
小3で九九ができる子供で、順番に探す子供と一気に飛べる子供では、明らかに問題を処理する速度が違いますよね?
学校のテストでは、こういう問題は出ないかもしれません。またテストの時間に割と余裕があるからできてしまう場合もあるので差が見えにくいのかもしれません。
でも、現実には明らかに問題を処理する力に差があるわけです。
つまり、それが学年が上がったり、中学校になったりしたら、出る。おかしいなあ、九九はちゃんとできているんだけど・・・
そうじゃなくて、九九を覚えたら、それをいかに使えるかの部分にまで踏み込んでやっているかどうかの違いです。
これなんかが小学校では常にイイ点数を取っていたのに、学年が上がったら、急に通用しなくなったりする一例です。これは最近目にした例を書いただけで、おそらくいろんな場面で同じことが起こっているはずなのです。
同じくらいの点数の子供だって、どうやってその点数を取っているかでまるで違ってくる。
それは小学生が中学生になる、高校の内容になるという山を越えるときにバーンと出てくる。ただ問題の根っこは小学生が中学生になる前、高校内容に入る前にあるってことです。
入試で「合格」してもOKとか安心とは言えないってさんざん言っているわけですが、前学年までの内容をどういう形で頭に収めているかが山を越えるときにバーンと出てくるってことです。
でも、多くの人はそんなことは気にしない。合格とか90点以上とかでしか見ないから。
だから、カンタンに思える内容でも、その中にいろんな応用があるというお話です。ただカンタンな内容だったり、制限時間に余裕があるものであれば、その問題点が見えにくいだけってことですから。
じゃあ、これに気づけるのは誰ですか?といえば、親しかいないとストロングは思っています。
合格や90点以上は親も他人も注意深く見守っているけれど、どう合格するのか、どう90点以上を取っているのかなんて親以外にだれも興味がないことだから。
だから、カンタンなことをやっていることが問題なんじゃなくて、カンタンなことをいかに深めて考えていけるか? そこです。
これが先取り学習よりも先にすることがあると常々ここで述べている理由でもあります。めいみさんにもぜひ目を向けてほしいことです。
ちょっと今回は、新「勉強の常識」というより、ダラダラと知っていることを述べてしまったわけですが、上の学年で通用するってなんだ?と考える際のヒントになれば、うれしいです。
最後に、以前メルマガでもお話ししたことがありますが、現在地点がよくわからないというめいみさんには、毎日新聞社『大学入試全記録「高校の実力」完全版』を見ることをオススメします。
これ以外にも同じようなものはいろいろ出ているからそれでもかまわない。もう少ししたら新しい最新版が出ますが、別に今年の最新号でなくてもいいんです。去年のでもイイ。一昨年のでもイイ。
これを見て、今お住まいの地域の学区の進んでほしいと思っている学校の大学実績を見てください。
高校で何番くらいであれば、めいみさんが思っている大学に行けそうか、おおよそ見当がつきます。それ調べたら、今度は進学予定の中学校で何人くらいがその公立高校に行っているのかを聞いてみる。
そしたら、どれくらいの心つもりでやるのかも、あらかた決まってきます。
その昔、講演に行った際に、実践会のメンバーさんとお話させてもらったことがあるのですが、例えば、某県では中学受験はほとんどない。受ける学校も全県で1つか2つくらいしかない。みんな当たり前のように公立中学に進んでいくんですね。
だから、小学校のときは、あまり塾に行く人はいないとも言われていました。そして、高校も公立に進学する。その代わり、公立高校のトップ校の進学実績は結構すごいわけです。
手元にある少し前の『大学入試全記録「高校の実力」完全版』の数字ですが、県内トップ校の実績を見ると、
卒業生277名で東大27、京大2、北大12、東北大15などなど、国公立大学190名近くが進学しているわけです。
浪人も入っているんでしょうが、これって結構な実績ですよね。だから、中学入試はない代わり、高校受験はもう激烈な「テストでは1点の戦い」になる。1問落としたら、アウトなわけです。そういう地域もあるわけです。
「公立はどうなんでしょう?」って言っても、ほぼ公立に進むしか道がない県だってある。その公立小→公立中→公立高校で全国の私学を含むライバル相手に戦っている。
めいみさんは、「基礎学力はある程度つけさせてやりたい」と書いていました。その基礎学力も、さっき書いたように、「九九ができる」を基礎学力と考えればそこで終わり。90点以上だから基礎はできていると考えればそこで終わりです。
でも、「九九」にだって、もっと深い使い方だってある。九九以外でもあらゆることは、もっと深く突き詰めて考えることができる。
公立小学校であるならば、100点取った先にも、まだふか~~い道があるのです。
ただカンタンだなあと思えるところにいたら、それが見えにくくなるだけ。親技では難しいことをさせすぎたらダメですよってさんざん言っているわけですが、子供にとって難しいことをさせる唯一の利点は、こんなふうに出題されるとまるでできないのか?ってことがわかるってことです。
難しい問題、難しすぎる問題は自分たちの課題を知る意味でやるとすごく意味が出る。
できなくてもいいんです。
でも今やっていることをうまく使えないんだということを親が知って、じゃあ、どうやったら使えるかを考える材料を得るために難しい問題をやってみるのは1つの手です。
カンタンな問題で深く考えなさいっていわれてもよくわかんないって方は、難しい問題をやってみたらいい。でも、難しい問題をやらせるのは「なんでできないの」「わかるでしょ」って怒るためではない。今の子供が理解している地点を知るためにするなら意味がある。
現在地点をハッキリさせて、お進みくださいね。
何度か紹介している「応用力を身につけるコツ」シリーズ
今回は、某塾のテキストにあった算数の相似の問題を題材にしたものです。
メルマガの読者は問題をこちらにアップしておきました
復テ対策講座生はこちらからログインして見てね
よくある問題ですから知ってればすぐに解ける基本問題です。制限時間は3分といったとこでしょうか。
誰でも見たことがある基本問題ですが、別解を考えたり、解いている最中に間違いに気づく練習にも大いに利用できる問題です。
タイガー山中曰く
覚えてるとか、知ってる知らないに頼っている限り本当の応用力(自分で考える力)は身に着きません
そしてそれを導くのは親だと思いますよ。