中学受験の道のりは「長く険しい道」とよく言われますが、
長いかどうかは、人それぞれ
険しいかどうかも、人それぞれ
なんですよね。
というのも、偏差値50の中学校を目指す方と偏差値70の中学校を目指す方ではそもそも目指す山が違います。標高もその険しさも登山道自体が違うわけですから「人それぞれ」なのは当然といえば当然。
1つだけ明確に言えるのは、中学受験という名の高い山、中くらいの山、低い山、いずれを目指すにしろ、どの山がすばらしいかとは一概に言えないってこと。それぞれが目指す山へ頑張って登るだけ。誰かのために中学受験をするわけじゃないですからね。
もし、世間体や隣近所やご友人に対するなんらかの見栄で中学受験という名の登山をしようかと思っている方はこの先、滑落や落石、思わぬアイスバーンなどに出会う危険が高いのでご注意ください。
いかなる中学受験の山も親の見栄だけで乗りきれるほど甘くはない。子供の「今の現状」をしっかりと把握して、さりげない手助けやアドバイスがどうしたって必要です。
山(中学受験)を舐めるな!ということですね。
「中学受験を舐めちゃいけない!」とは、どういうことか?
私たちが考える中学受験では、どういう偏差値の学校を目指すにしろ、少なくとも大きな峠を最低限3つは越えなければなりません。
わかりやすくその3つを言葉に例えれば、「基本の峠」「応用の峠」「発展の峠」になります。
あなた方親子が偏差値50の中学校を目指すにしろ、偏差値70の中学校を目指すにしろ、いかなる中学校を目指すにしろ、この3つの峠は必ず乗り越えなければならないのです。
でもさっき「偏差値50の中学校を目指す方と偏差値70の中学校を目指す方ではそもそも目指す山が違うし、標高もその険しさも登山道自体が違う」って言ったじゃないか?と。
すばらしい!そこに気付いてくれましたか!
そうなんです。誰もが3つの峠「基本の峠」「応用の峠」「発展の峠」を越えなければならないのですが、そのハードルの高低があるのです。
偏差値70の中学校への登頂を目指すなら、フル装備で酸素ボンベくらいは必要な登山になる。偏差値50の中学校の登頂を目指すなら、酸素ボンベはいらない。
もう少し具体的に説明しましょう。今、「どこの峠にいるの?」「どこでつまづいているの?」についても考えながら読み進めてくださいね。
中学入試を受験できるまでの態勢を整えるために必要な最初のハードルが「基本の峠」ですが、これはすなわち
親の言うことを聞かない
勉強する習慣ができていない
勉強をしても点がとれない
といったハードルです。
できれば中学受験の勉強をはじめる早い時期、小4ぐらいにクリアして欲しい峠ではあります。しかし、現状を見ていますと小5になってもこれらのハードルをクリアしていないのに、さらに険しい峠を乗り越えようとしている親子を見かけます。
親の言うことを聞かない
これができなければ
塾の宿題をやらない
中学受験なんかしないとわめく
親は怒ってばっかり
となるわけですし、
勉強する習慣ができていない
これができなければ
日々の宿題が終わらない
少し難しいとすぐ暴れる
同じ問題を繰り返し学習することをいやがる
ということも起きてきます。
勉強をしても点がとれない
これができなければ
勉強に対するやる気が失せる
どうせやってもできはしないと固く信じるようになる
なんてことになると受験をする意味がありません。
せっかく高い志をもって近くの中学ではない学校を目指して始めた中学受験なのに、子供がとことん勉強キライになったり、親の言うことは一切聞かなくなったりするなどが出てくるのは、最初の「基本の峠」がクリアになっていないからです。
さて、いががでしょう?「基本の峠」はクリアできていますか?
もちろん「基本の峠」をテキトーにクリアしたふりをして中学受験という名の登山を続けるのは自由です。誰にも止める権利はないわけですから。でも、それはTシャツと短パンで富士山に登るのと同じことで、標高が上がれば上がるほど、つまり学年が進めば進むほど、大きな問題が発生するという覚悟は必要です。
「基本の峠」がクリアできていれば、
親の言うことを聞く
勉強する習慣ができる
勉強した分だけ点がとれる
こんな状態になっているはずです。
「基本の峠」を越えたら、次はすぐに「応用の峠」が待っています。
「応用の峠」とはズバリ狭い範囲のテスト対策です。
塾で実施されるテストの名前は、復習テスト(復テ)、カリキュラムテスト(カリテ)、週例テスト、デイリーチェックといろいろですが、週間単位で習った範囲のテストですから、どこが出るのかもある程度予想でき、勉強も比較的しやすいテストです。
狭い範囲のテストが不安定
といったハードルです。
当然、「基本の峠」よりもつまづいている方は多いはず。
狭い範囲のテストが不安定
これができなければ
中学受験の塾通いが辛くなる
宿題全部なんてできないよと愚痴る
内容が難しすぎるとため息が出る
子供の勉強に対する集中力が出ない
こんなことが起きたりします。
狭いテスト範囲のテストで良い点数が取れなければ、全範囲の入試問題ができるはずがない。これは理解されていると思います。
ただ、ポイントは週間単位の狭い範囲のテストで高得点というよりは、納得のいく点数が取れているかどうかということ。
納得がいくかどうかとは偏差値70の中学校を目指す人は満点に近い点数が必要でしょうが、6割で十分という人だっているということです。あなたが目指す中学校に必要な点数であれば充分なわけですから。さきほどの図のことです。
実はこの「応用の峠」はやっかいなのです。ここをクリアしないと
「小5の壁」にぶつかります。
毎年、小5になって、特に夏以降ですが成績が落ちる子が出てきます。最初は「アレっ、最近スランプかな?」なんて言っていますが一向に回復する気配がないどころか、徐々にやる気がなくなってくる。まるで目に見えない壁があるように。この壁を私たちは「小5の壁」と呼んでいます。
原因は、小4では狭い範囲のテストなら得点できていた子が、5年生になり習う内容もレベルが上がり、量も増えていくと、今まで取れていた週間単位のテストが間に合わなくなるため。
小4でギリギリの勉強をしている子にとって、小5になって塾の時間は増え、家庭学習に取れる時間は少なくなれば同じ習熟度でテストを受けるのは無理になる。だから、成績も下がってしまう。当然といえば当然なわけです。解決策は勉強のやり方の見直し。
効率のいい勉強のやり方を修得する
これにつきます。
ここで問題なのは、「応用の峠」をクリアできていないことはわかった。でも、その前に「基本の峠」はちゃんとクリアできているのか?ということなのです。
もしクリアできていないのに、復テ、カリテ、週例テスト、デイリーチェックに向けた対策に取り組んでも成果は出にくいわけです。
塾の宿題をやらない
中学受験なんかしないとわめく
親は怒ってばっかり
日々の宿題が終わらない
少し難しいとすぐ暴れる
同じ問題を繰り返し学習することをいやがる
勉強に対するやる気が失せる
どうせやってもできはしないと固く信じるようになる
にあてはまる方は「基本の峠」に戻るか、もしくは同時に「応用の峠」に取り組む必要があるということです。「基本の峠」と「応用の峠」を同時に越えていくのは大変な作業になりますけれどね。だからこそ、順番に1つ1つクリアしてほしいと繰り返し述べているわけです。
本当に
安定して納得できる点数がとれる
状態なのかをチェックしてみてください。
さて、ようやく「応用の峠」を越えたら、次はすぐに「発展の峠」が待っています。休めませんねえ。
「発展の峠」とはズバリ広い範囲のテスト対策です。いわゆる公開テスト・組分けテスト(広い範囲のテスト)ですね。
公開テスト(広い範囲のテスト)が苦手
さらに多く方が当てはまるのではないでしょうか。
公開テスト(広い範囲のテスト)が苦手
これができなければ
1ヶ月前に勉強したことをほとんど忘れている
週間単位のテストではできている問題を1か月後にやると全然できない
範囲が広すぎて、またテスト勉強する時間がなさすぎて公開テストの勉強はほとんどできていない
ここまでくると難易度はグッと上がります。だから「発展の峠」なんですね。
ただ、繰り返しになりますが「公開テストが取れない」と嘆いている方の中に、よく見てみると範囲の狭いテストでさえ取れていない人がいます。これってポイントがずれていますよね。
この「発展の峠」で悩むべき人とは、範囲の狭いテストでは納得のいく点数が取れているのに、範囲が広くなるテストになると偏差値がドーンと下がる人ですね。
公開テスト(範囲が広くなるテスト)などで、
安定して納得できる点数がとれる
までを受験生の夏休み前までには達成すること。ここを1つの目標にして欲しいものです。
とまあ、「基本の峠」「応用の峠」「発展の峠」の話をしましたが、いかがだったでしょう?
おおよそでもいいので、「今どの地点にいるのか?」がわかりましたでしょうか。
実は、受験勉強において大切なのは現状分析ですが、「今どこにいるの?」は現状分析の中でも最も大切な要因になります。
「基本の峠」をクリアしていないのに「応用」で悩んだり、「応用の峠」を越えてもいないのに「発展」で悩んだり、現状分析がきちんとできていないのと、中学受験は悲劇を生んでしまいますから。
その上で、中学受験を目指すみなさんには、小6の受験学年がスタートする前までには「発展の峠」までをクリアして欲しいと考えています。どんなに遅くとも小6の夏前です。
なぜなら、6年の夏以降に志望校判定テストなどがはじまる時期になると「あれっ、点がとれない!」と急に成績が落ちる現象に見舞われる人が出てくるから。私たちは
入試問題(レベル)の壁にぶつかった
と呼ぶのですが、少しずつレベルが上がる程度には対応ができていたけれど、ポンとレベルが上がると対応できなくなる状態です。類題なんだけど問われたことがない聞かれ方をしたとか、やったはずの問題なのに「こんな問題見たことない・・・」って違和感を感じるのはこの発展の峠で壁にぶつかっているといえるでしょう。
「発展の峠」だけが残った状態であればまだいいですが、「応用の峠」いや「基本の峠」なんてことになると中学入試までの道のりが非常に厳しいものになります。ぜひ小6に上がる前までに「発展の峠」をクリアしてほしいものです。それと
「基本」「応用」「発展」を順番通りにクリアしていく
この順番は絶対ですから。
あとは、今いる場所に応じて対策を施していく。ちなみに、親技で提供している教材でいいますと
詳しい説明はこちら → 10の鉄則
詳しい説明はこちら → 親子ノリノリ勉強法(算数)
現在、リニューアルしまして「ABC勉強法マスター講座」となりました。
親技オンライン教室SherpaのSTEP3で受講できます。詳しくは → こちら
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