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※この毎日親技は2012年8月21日に配信したものです

すでに2012ロンドンオリンピックも終わりましたが、最後にもう1つここで親の皆さんのヒントになりそうなものを取り上げてオリンピックのお話の締めにしたいと思います。

今回取り上げたいのはメダルを獲得した選手のコメントです。

メダルを獲得した選手の多くは

「頑張れば夢が叶う」

「こつこつやれば夢が叶う」

というコメントを発していました。

まさにそれを実際にみんなの前で見せたのがメダリストたち。
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だから、その言葉にウソはない。

レスリング女子48キロ級金メダル 小原日登美選手

どんなときでもあきらめずに頑張れば夢がかなうと思うので、みんなにも頑張ってほしいと思うし、その過程がすごく大事だと思うので頑張ってほしい。

小原日登美選手のこれまでのストーリーをテレビなどで見た方は、このコメント、すごくよくわかるんじゃないでしょうかね。まさに「あきらめずに頑張れば夢がかなう」を小原選手は体現した方です。

ただ子供たちは「頑張れば夢が叶う」という言葉の部分を切り取って独自の解釈をすることもあります。

たとえば、度々ここでも取り上げている「やればできる」なんていう言葉も、実は最初は「頑張れば夢が叶う」から派生してなんとなく出てきた言葉なんじゃないでしょうか。

「やればできる」は、すなわち「やらなければできない」ですし、

「頑張れば夢が叶う」は「頑張らなければ夢は叶わない」です。

これらは全部裏表でセットです。

また、「やる」「頑張る」は一言ですが、「どれだけ頑張るのか?」「どれだけやるのか?」その量と質は、「頑張れば夢が叶う」と子供達が言っているとき、実に曖昧です。

この夏、難関校を目指す子供たちは連日10時間近くは勉強しています。ある人から見れば、「かわいそう」となるのかもしれませんが、別にかわいそうではありません。だって難関校に行きたいという夢があるわけですから。

ですよね?

でも、子供によっては1時間やって「頑張った!」という子供もいれば、「10時間」じゃあ足りないという子供もいる。どっちが上とか下とかはないんです。

でも、「頑張る」という言葉のその最大と最小では別次元くらいの違いがある。

小原日登美選手は頭のいい選手なんでしょう。ただ「頑張れば夢が叶う」とはいわず、ちゃんと

どんなときでもあきらめずに頑張れば夢がかなうと思うので、みんなにも頑張ってほしいと思うし、その過程がすごく大事だと思うので頑張ってほしい。

過程が大事と付け加えています。金メダルを獲得した小原選手の試合後の会見でこう述べています。

2012年8月9日 スポニチ

「ここがゴールと決めていた」とロンドン五輪を最後に現役引退することを明言し、「今まで選手生活中心で主婦業をサボっていた。夫に支えてもらってきたので、普通にご飯をつくってあげたい」と穏やかに話した。

小原の五輪への挑戦は10年10月に結婚した夫・康司さんのサポート抜きには語れない。「日登美の夢をかなえるため」に全てを犠牲にしてきた。減量を抱える妻のために「食べたいものを一度も言ったことはない」。・・

「普通にご飯をつくって」あげられないくらいに打ち込んだその結果として、「どんなときでもあきらめずに頑張れば夢がかなう」ですからね。

オリンピックでメダル獲得などをした競技は注目が集まり、一気に競技人口が増えたりします。レスリングを始めたいと思うお子さんもいるでしょう。サッカーを始める女の子、フェンシングを始める子供だっているでしょう。

子供がやりたいと言えば、親も協力するよ!というのが多くの方の態度だと思います。その際言う、「夢は諦めなければ叶う」。

その過程には質と量でものすごい違いがあるんだということを応援する側、協力する側は知っていなくちゃいけない。

そうでないと頑張っていないのに、努力していないのに「頑張れば夢が叶う」がいつのまにかすり替わっちゃって「やればできる」に堕落しちゃう。

もし、子供たちに「やればできる」「頑張れば夢が叶う」を言うのならば、常にその裏側の「やらなければできない」「頑張らなければ夢は叶わない」は、セットで子供たちには教えてやらないといけない。

その頑張る量と質は最初に言ったら、「じゃあ、やらない」とかになっちゃうんで、子供が知らなくてもいいですが、親側はちゃんと知っておかなくちゃいけない。「夢は諦めなければ叶う」という言葉は、それくらい重いし、誰もが口にできる言葉じゃないということですよね。

夢がないですか?

ここでも取り上げた福原愛選手はこう言っています。

卓球を20年やってきて、皆さんがプレゼントしてくれたメダル。こつこつと頑張れば夢はかなう。

「こつこつと頑張らなければ、夢はかなわない」んですが、その「こつこつ」も3日じゃないんです、1週間でもない。20年です・・・・

この前も書きましたが、福原選手、推定ですが中学3年生の時、すでに1万6000時間以上の卓球の練習を積んでいた。16,000時間という時間を改めて計算機を出して計算してほしいんです。

毎日10時間やって1600日。毎日10時間の練習を4年やっても、16000時間にはなりません。

1日10時間の練習ってどんなスケジュールになるのかといえば、たとえば昨年2011年夏の甲子園で優勝した日大三高の主将・畔上クンのスケジュールはこんな感じです。

畔上クンのスケジュール

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練習 11時間
食事等 4時間
授業  4時間
睡眠  5時間

もし、練習時間が毎日5時間なら、3200日。毎日5時間なら休みなくやって、約9年の歳月がかかります。もう途方もない、まさに血の滲むような練習と努力ですよね。誰にもできないんです。

卓球はできますよ、誰でも。でも、血の滲むような努力と練習はほとんどの人ができない。そういう意味で、繰り返しますが、「頑張れば夢が叶う」なんてカンタンに言っちゃあ、いけないんじゃないか。

それよりは20年も暴れもせず、グレもせず、親と縁を切ることもなく、「こつこつ頑張れ」る、その精神構造、与えられ方、接し方、頑張らせ方、考え方などをよくよく考えるほうが大切なんじゃないかと思うわけです。

福原選手みたいにガンガン練習をやらせなさいと言っているんじゃないですよ。この夏休みに1日10時間したからといって、それが何なんですか?って思えなくちゃいけないってことです。

40日×10時間=400時間たかが400時間です、ハイ。

それでもお盆で親戚が来れば、10時間が5時間になったり、体調崩して0時間になったりもする。それって次の日に挽回できるんですか?

できません。

10時間勉強を頑張っている子供に「昨日親戚が来て5時間しかしていないからプラス5時間な!」なんて言ったら、子供は暴れるか、やっても勉強で手を抜き始めるでしょう。つまり、事実上、今日のマイナスを明日取り返すことはできないんです。

今日は今日です。明日は明日。それが積み重ねってもんです。

「今日は24時間やるぞー!」って仮にやっても次の日は1日中、寝ているでしょ?

「こつこつ頑張る」というのは、そういう意味です。「こつこつ頑張る」というのは、すごいことで、誰でもができることじゃない。20年コツコツやられたら、今から頑張っても追いつかないですから。

「福原選手見てみろよ。お前もこつこつやれば、あんなふうに なれるんだから」と、もしテレビを見ながら子供に言っているとしたら、それは本人と周りに、ものすごい覚悟を要求することになるわけで、実際はウソとはいわないけれど、ほとんど実現不可能なことを「できる」と言っていることになります。

勉強だって1日10時間勉強できるようになるまで時間もかかる。ただ勉強はオリンピックと違って、世界で3位までじゃないとメダルがもらえないわけじゃない。「合格は3位まで」じゃない。だから、オリンピックレベルまでやる必要はない。それが救いといえば救い。

どうしてこんなことを長々と書いているかといえば、この夏、会った高校生も中学生も小学生も、多くの子供達から「頑張ればなんとかなりますかね?」と似たような発言を聞いたからです。これが現代の子供たちの風潮なのかと疑うくらい、それらしきことをみんなボクに確認してきました。

みんなにハッキリ言ったのは、「頑張れば何とかなるけれど、キミは頑張れないよ!」と。
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頑張ったことがない子供が「もし頑張ったら」なんていう夢みたいな仮定の話には答えられないとも言いました。お前に必要なのは「今日15分頑張ったのか?」ということ。15分じゃ到底足りないし、どうにもならないけれど、今まで頑張った実績がない者は、受験が迫ろうとも、明日テストだろうと、今日15分頑張った実績が必要です。

もちろんそれは今日だけじゃダメで、明日も明後日も、ずっと続けていかなくちゃいけないことだけど、毎日15分しかできないなら、まずは毎日15分真剣にやる、毎日15分の実績を積み上げて行けと。毎日15分じゃ、明日の確認テストで成果は出ても、入試問題は解けません。毎日10時間追い込んでいる奴らには到底追いつけません。

それでも、その子たちには、「毎日15分」「30分」「1時間」という頑張った実績が必要です。
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実績がない者は夢を語る資格はないからです。目標を掲げる意味はないからです。

頑張った実績を、それが毎日たった15分であっても、それは必ず成果として、成果とは15分頑張った分の成果ですが、それが出ます。100点満点でそれが20点かもわからないけれど、「毎日15分実績」なら、それが最高の成果。もっと成果を出したいなら、もっと上に行きたいなら、「毎日30分実績」にすればいい。

みんな志望校を決めるの先で、毎日積み上げている実績があとからだから、苦しいけれど、毎日積み上げている実績で行ける学校なら意外と苦しくはない。

これを大ざっぱに言い換えると、

◆目標があって、努力を積み上げる → 苦しい

◆努力があって、その積み上げの先が目標 → 苦しくない

となると思います。

みんな「目標があって、努力を積み上げる」ほうがカッコイイとか夢があるとか思っている節がありますがそんなことはない。毎日ちゃんと自分の実績を積み上げて行かせてもらえるところに行くのって実績通りだし、身の丈にあってもいて、ごく自然です。

「目標があって、努力を積み上げる」のって、スタート時点で目標に到達するには、受験ならこれくらいの勉強量とかこれくらいの偏差値とかこれくらいのレベルの問題が解けないといけないとかが先に決まっているわけですよね?

偏差値60必要で、今40なら何年間かで20を縮める必要がある。問題はここで起こります。入試では期限が決まっているので、「あと2年で偏差値20あげなきゃいけない」という逆算の方式で物事を考えるので、つい「今の実績」が無視されがちです。

今は「毎日1時間実績」なのに、それじゃ間に合わん!「毎日3時間にしろ!」逆算方式ってこれが一番問題なんですね。一方は、とにかく積み上げ方式ですから、積み上がったものだけで志望校を決めるので「今」が大事にされる。どっちの方式でもいいけれど、大事なのは「今の実績」です。

「中3が1日15分の勉強なんて意味ないよ!」と子供は言うけれど、「お前、その実績もないじゃないか!」ということ。15分なんてクソだ!って言う前に「毎日15分やれよ」。

自分ではやれそうにないなら、中3でちょび恥ずかしくても、自分に負けないように毎日親にそばに座ってもらって、励ましてもらって「毎日15分」を積み上げろよ。どれくらいの時間であろうとも、実績のない奴が志望校や夢を語るのは片腹痛いのだよ、諸君っていうことです。
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少し長くなりましたが、最後に皆さんに考えてもらいたいので紹介します。

先日、2012年本日8月17日に、パルデンとダイゴの2人からなるお笑いコンビ「ラヴドライブ」が解散を発表しました。芸歴は16年だそうで、二人はハーフであることを題材にしたネタなどで活動してきたとニュースでありました。その心境がブログで丁寧に綴られていますので、一部を抜粋して紹介します。

パルデン ブログ

・・・いつか売れると信じてたけどな。「続けてればいつか良い事がある」なんて言うけど、それは結果を出した人の言葉だな。

結果を出せなかった人はきっと「続けてても意味ないよ」なんて事を言ってたんだろうけど、僕の耳には入って来なかったな。自分の都合の良い事しか聞かないし、信じないもんな。

何時間もかけてネタ作りをして、何時間もかけてネタ合わせして、本番の5分間ダダスベる。16年間こんな事が何度も何度もあったな。・・・

申し訳ないことに全然知らないお笑いコンビなので、どういう感じのネタなのかはわからないのですが、考えさせられる内容ではないでしょうか。

ただ1つ言えることは、「毎日実績」を積み上げていく中で、それがたとえ毎日15分実績という短時間のものであっても、その間、いっさい小さいテストでさえ、成果が出ていなければ、今度はその積み上げ方、毎日実績の内容についても、考えなくちゃならないということ。

このコンビはどうかわかりませんし、そんなことはないと思いますが、仮にスベリ続けて16年なら、売れないのは10年前にわかったでしょう。

「お前、毎日実績を積み上げてきたことはすごいけど、お前の積み上げている実績、内容がないよ!」そんなことも周りは言ってやらないといけないでしょう。

まあ、好きなことを16年も食えない中、やり続けられたのですから、このコンビはある意味で幸せだと思いますけどね。商売なんてうまくいかなければ1年でお店をたたまないといけないですから。

さあ、あなたのお子さん、「毎日実績」ありますか?

内容を問う前にまずは「毎日実績」の確認からですよ!
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うれしい報告

『10の鉄則』の感想、続々と・・・

小5 ばななさん

昨日『10の鉄則』が届いてから、一気に読みました。

頭では分かっていたつもりだったこと・自分は比較的教育熱心だと思っていたが実際には子どもに何もしてやっていなかったことがよくわかりました。

週末にかけてもう一度じっくり読ませていただき、1つ1つの鉄則を実践していきたいと思います。

子どもは夢ばかりを語るようになっています。○○中学に行ったらさ・・・ △△できるようになったら・・・ 偏差値が●になったら・・・などなど

夢や希望がかなえられるよう、目標と決まりを明確にして親子ともども進んでいきたいと思いました。

夢を語るには毎日の実績が必要。その実績は1cmでも、1歩でも、いい。

とにかく前へ、上へ、今日1日で積み上げる実績がいる。

その実績作りに、負けそうになって今日を「0」にすぐしてしまう子供に、鉄の意志で実績を積ませる。

それが自信にもなる。

「頑張るつもりはあるけれど・・・」からの卒業が第一歩。

  • 10の鉄則
  • ノリ勉
  • 中学受験コース
  • 復テ対策講座
  • 30点上げよう会
  • 公開テスト対策講座
  • 親カツ講座(夏まで
コース)
  • 親カツ講座(入
試実践コース)