こんにちは、ストロング宮迫です。
東京都調布市の住宅街に小型飛行機が墜落した事故では、目的地への片道の飛行時間の5倍の分量にあたる燃料を積載していたとのことで、毎日新聞によれば「重量が影響して十分な速度が出せず、揚力が不足して事故につながった可能性」も調べているとか。
空から「タンクローリー」が猛烈な勢いでいきなり落ちてきたら、下に住んでいる人はたまらんですなあ。本当にお気の毒で言葉もありません。
このニュースを見ていて思うのは、やっぱりやるべきことをちゃんとチェックしてやるってことの重要性を改めて感じます。
飛行機なら、離陸前に機体の総重量を計算したり、エンジンをチェックしたりする手順があるんでしょうし、勉強でもやっぱり手順ってもんがあります。
子供が親に「なんじゃコラー」って言っているのに、「勉強は3回は繰り返さないとダメなのよ」とか「努力は大事よ」なんて言っても、やりはしないし、通じもしない。
「なんじゃコラー」って喚いている子供に必要なのは「勉強のやり方」じゃなくて、まずは人としてのあり方や態度や姿勢だから。
えっ、「なんじゃコラー」って言ってても、受験まであと半年しかないって!?
たしかに受験生ならあと半年しかない。逆算すれば「この受験生の夏はこうあるべきだ」「こうするべきだ」という理想の形は存在する。でも、その理想形は過去の延長線上に構築される理想形です。
ですよね?
目の前にいるのは「なんじゃコラー」の子供なのに、理想形の勉強のやり方や「この受験生の夏はこうするべきだ」を親はやろうとする。あと半年だからって。
どうなるか?
調布市の小型飛行機が墜落した際の離陸時の映像を見た航空評論家の杉江弘さんはこうおっしゃってる。
規定の速度が得られなくても機体は離陸できる。しかしその場合は、エンジンが最大出力でも、思うように速度や高度は上がらない。その状態で無理に高度を上げようとして機首を上げ失速したのではないか。
「なんじゃコラー」の子供に、あと半年の道のりを示し、これで走らないと間に合わないのよって言うのはイイ。理想形を示すのは良しとしましょう。
受験は誰だってできるんだし、飛行機だって「規定の速度が得られなくても」離陸はできるんだから。
でもね、親の「エンジンが最大出力でも」、子供の「速度や高度は思うようには上がらない」んです。当然ですな。お互いが綱引きしている状態なんだから。
その状態で、親が知恵を使って「無理に高度を上げようとして」グイと「機首を上げ」たらどうなるか。
もちろん失速します。離陸時の飛行機って徐々に高度を上げていくわけでしょう。離陸してすぐに真上には上がらないんです。
でも、焦っていると、そう「受験まであと半年」って思っているから、ついすぐに「機首を上げ」ちゃうんだな、間にわせようとしてね。そしてというか、だからこそ加速度的に失速する。失速だけならいいけれど、墜落だってありえる。
でも、あと受験まで半年だし・・・
受験まで半年でも、3ヶ月しかなくても、もしその時点でスタートするなら、「なんじゃコラー」と言っている子供には、勉強のやり方の前に人してのあり方や態度や姿勢からやらなくちゃならない。
それじゃあ、間に合わないって!?
じゃあ、機首を無理にグイッと上げるんですか。
グイッと上げたら、人より遅れているという意識とあと半年という決まった期限はすなわち「飛行時間の5倍の分量にあたる燃料」を積載しているのと等しいから、必ず失速して墜落する。
つまり、受験どころではなくなるってことです。
親技では受験生が対象の親カツ講座前期コースの初回2月号で「受験1年前に確認しておくこと」を示し、「子供に念押ししておくこと」をやります。
親カツ生の中にも、2月号でやった「子供に念押ししておくこと」をすでに失念している人も出てきます。失念すれば、親カツ生だって失速するし、悪くすると墜落する。
受験じゃあ、墜落しても人は死なないからまだ幸いだけれど、不合格は言い渡されます。
思うように速度や高度は上がらない状態で無理に高度を上げようと失速するんです。これはもう決まってることだから。
だから、飛行前にいくつかのチェックや計算をするわけでしょう。これなら離陸時に速度や高度が上がらないってことはないと必ず確認してから機長は離陸する体制に入る。でも受験では、「機長」である親がいくつかのチェックも計算もしないで、失速する可能性を知らないで「まあ、なんとかなるでしょ!」と旅立つ人が多い。
ただし、受験では「まあ、なんとかなるでしょ!」で旅立っても、飛行機と違って特に大惨事にならない場合だってあるんです。なんとか持ったわぁ~ってこともある。
じゃあ、その大惨事になる場合とならない場合の分岐点はどこになるのか。
これもハッキリしてる。
難関校を目指す場合は大惨事になる場合が多く、中堅校以下の学校を目指す場合は惨事なる可能性が低くなる。
なんでか、もうわかりますよね?
そう、機首の上げ方が違うんです。機首を「ちょいと上げる」のと「グイと上げる」のとの違い。
難関校を目指している方は、その中でも今の時点で判定や偏差値が順調でない方は、入試から逆算して考えて、今の子供の現状を考えずに機首をグイと上げてしまいがちなんです。
機首をグイと上げてしまうとは、勉強では「できない問題をひたすら解こうとする」ともいえます。
夏期講習の勉強内容のレベルがグッと上がっているところも多いでしょう。1番から解けない単元だってあるはずです。
塾から与えられているのだから「解けるはず」と思うのは勘違いで、力が足りなければ解けなかったりする。ウンウン唸って頑張るのも勉強でしょう。
でも、ウンウン唸っても解けない問題は、そのレベルの問題の1つ前がうまく頭に整理されていないってことかもしれない。
「発展問題」が解けないなら、その単元の「応用問題」は解けるのかって少し戻ればいい。
「あれれ応用問題も怪しいぞ」って場合だってあって、それなら「基本問題の確認」に戻らなければならない。
何時までにどこそこに到着しなきゃいけないからとか塾のテキストだからできて当然とか思って、到着時刻ややる問題は変更せずに無理して機首を上げて飛んでも、間違いなく失速します。
特に難関校を目指している親や子供は難しいことをやっているという時間が勉強をしている時間と感じやすい。
積載量を計算しないで、離陸前のチェックもそこそこに飛び立っても、あなたが行きたい場所には着きません。
今やっている夏期講習の単元の問題がひどく詰まるなら、いったん離陸をやめて、引き返し、積載量を計算し直して、離陸前のチェックも、もう1回やる。
それは勉強では1つ手前に戻るってことです。
発展で詰まっているなら応用へ、応用でなら基本へ、基本で詰まるなら基礎知識へ、戻れ!
無理して離陸するんじゃない。目的地には着けないから。
小6なら小6の前半のテキストやテスト、または小5のテキストやテストに戻る。中3なら、中3の前半や中1、中2に戻る。
それぞれの教科の各単元はテキストや教科書の最初に書いてある「導入部分」を土台に上へ上へ積み上がっていっているのは誰でも知っていることでしょう。
★難しい入試問題
↑易しい入試問題
↑テキストの発展問題
↑テキストの応用問題
↑テキストの基本問題
↑テキストの基礎知識
↑テキストの導入部分
難しい入試問題の取り組むのに、
★難しい入試問題
↑易しい入試問題⇒できません
↑テキストの発展問題⇒できません
↑テキストの応用問題⇒できません
↑テキストの基本問題
↑テキストの基礎知識
↑テキストの導入部分であれば、難しい入試問題に取り組んでも、力はつきません。
1回やって暗記することは可能だけれど、違う問われ方をすれば、同じ単元の問題であるとすら判定できないことになる。
★難しい入試問題
↑
↑
↑
↑テキストの基本問題
↑テキストの基礎知識
↑テキストの導入部分こんなスカスカで対応できるほど入試問題はお手軽じゃない。
特に難関校の問題は、骨が折れる。力づくじゃ刀が折れる。
だから、コツコツコツコツ下から積み上げて挑んでいかないといけない。今の夏期講習でやっている問題に歯が立たないようなら、その単元の1つ下は大丈夫なのか、テキストやテストに返ってみることです。
成せばなる!なんて力づくで何とかしようとしないで、小6なら小5のテキストやテスト、中3なら中1や中2の教科書やテストに戻ってやってみる。確認してみる。
「そんなのカンタン!」「そんなのできるよ!」なら、時間もかからないし、今の時期、イイ確認にもなるじゃないですか。
短時間でパッパと済ませる。
引き返したのに、その復習に時間がかかるようなら、難しい入試問題をやっている場合じゃない!スッカスカの頭に積み上げていかなくちゃいけない。
ある単元はそのまま夏期講習のテキストをやってもいいけれど、「電気や電池の単元」のところは基本に返らなくちゃならないなど単元によって違いが出てくるはずです。
教科書やテキストの最初の目次をコピーしたら、なんの単元があるかはすぐわかる。単元の横に表を作って管理したらイイ。
相撲取りとガチで相撲を取っても勝てません。横綱にも大関にももちろん勝てないけれど、幕下や十両の相撲取りにだって決して勝てません。
精一杯努力しても勝てないものは勝てないんです。
解けない問題はどう考えても解けないんです。やる気も根性も関係ありません。
そこに相撲の番付の意味もあるんでしょう。三段目は三段目で闘うんです。序二段は序二段で闘う、そこで勝ち数が増えると1つ番付が上がるんです。序二段は三段目へ、三段目は十両へ。相撲やボクシングでは番付やランキングに基づいて対戦相手が決まるんです。
誰ですか、序二段なのに横綱みたいな顔して難しい入試問題をやっているのは!
そういう勉強は無駄です。時間も労力も根性もやる気もすべて無駄でになります。
特に難関校を目指す連中にこれが今まさに起こりつつあります。同じ失敗は人を代えて毎年繰り返される。だから受験体制が整っていないのに、難関校を目指すっていうのは、これから地獄なんです。
思うような成果が得られないっていう地獄でもあるけれど、それよりはキツイのは、今の子供を見て入試問題よりも前学年のテキストをやらなくちゃならないっていう地獄。
だって苦しいもの。今の時期にこんなことをしなくちゃならないなんて・・・と悲しくなるし。
事故が起ってみれば、やっぱり引き返すべきであったと思えるんだけれど、大惨事を起こす前にエンジンもかかって、滑走路にいる状態で引き返すのはなかなかの地獄なんです。でも、いかなる地獄でも積載量を計算して重すぎれば引き返さなくちゃいけないし、エンジンの出力に不備があれば、「あと半年」だとしても断じて飛び立ってはらない。
受験は緻密な戦いなんです。もし仮に勢いだけで勝ち取れるとしても、それは中堅校以下の学校だけです。学校の難易度が下がればストレスは少ない。ギリギリセーフってこともある。
でも、あなたが目指すのが難関校なら、ギリギリはアウトなんです。紙一重は不合格なんです。
志望校までのギャップがあるのはみんなそうなんでいいんですが、やっている勉強に大きなギャップがあれば確実に大惨事になる。
親自身が気持ちを押さえなくちゃいけない。はやる気持ちをコントロールしてやる問題のレベルを慎重に選んでいかなくちゃならない。だから地獄なんです。
「規定の速度が得られなくても」離陸はできます。でも、飛んだあとはコントロール不能になります。心してかかられよ!
[ノリ勉数学・算数] 7日間を終えての感想
小4 bellさん
◆明らかに今回の成果と思うことは何ですか?:
ノリノリとはほど遠いところから始まりましたが、中学受験するということを親子で話し合えたことがよかったです。
今までは1ヶ月に一度のテストを受けるとき、宿題で1回。その後は一通りやるだけで、問題をこなしていませんでした。
ノリ勉で時間は30分でしたが、繰り返しやる、3つの約束を守らせる大切さを知りました。
◆子供のそばで勉強を見るってやっぱり非常識でしょうか?あと、親にとって学ぶべき点はありましたか?:
今までは嫌がるので、隣でみることはあまりありませんでした(リビングでやらせてキッチンから眺める程度)。
子供のできるはあてにならないことがわかりました。これからは、3つの約束がちゃんと守れるように、そばで勉強していきます。
◆お子さんと一緒に勉強するのは楽しかったですか?:
初めは、ノリノリではなかったのでつらいものがありました。
これからは、よいところは褒める。3つの約束を守らせるため、機会があるごとに中学受験する心構えから説いていきます。
今まで、このまま中学受験を続けていても分からないままズルズル受験当日まで行ってしまうのではという不安がありました。
ノリ勉を通して、ストロング先生にいろいろ指摘していただき、勉強のやり方がわかってきました。
まずはこの夏休みに三つの約束を定着させることが目標です。ありがとうございました。
負荷が変わる受験、特に皆がするわけではない中学受験には、「勉強する理由」がどうしても必要です。
そしてそれは子供自身が考えだす場合もあるけど、多くは親や周囲の働きかけによって次第に固まっていくもの。
この働きかけや決意を思い出させるのは、受験まで、いや受験以後もずっと続いていくもの。
その上で、より効率のイイ勉強をする。
きちんとした土台があって、その上に建物は建てないとね!