こんにちは、ストロング宮迫です。
以前、「中3の偏差値30です。本当に偏差値があがるんですか?」で、親の決意と覚悟をみてみると、現状偏差値30の親と偏差値60の親では、偏差値60の親の方が情熱も注ぎ込む労力も知恵も断然多く持っている。
この矛盾が良循環と悪循環の差を生み、それは倍々ゲームで膨らんでいくと書きました。
これは主に親側の話でした。今度は子供側からの視点で少し書いてみます。
子供っていうのはみんなプライドを持っています。成績が良い子も悪い子も、みんなプライドがあるんですね。
小学生だと少し見えにくいけど、中学生になるとそれがよりハッキリ見えるようになる。
小学生が見えにくいからといって、プライドがないわけじゃない。
成績が良い子供には当然ながらプライドがあります。今の順位や偏差値を維持したい、もっとイイ点数を取りたい。あいつに負けたくない。まあ、これが一般的。
それ以外にも、悪い点数を取ってしまう自分が許せない、許さないというのもあるでしょう。だから、身体がしんどくても夜遅くまで頑張ったり、ノートを工夫して取ったりもする。
一方で、そうした気持ちの持ち方がテストを受ける恐怖や不安になったりもする。
ただね、これは子供自身が子供自らに課しているものです。
無様なマネはしたくないという自分が自分に課したプライド。そばで見ていても、自分に厳しすぎないか?と心配になるプライド。
子供自身が自分というものに「これくらいやれる」と課す、この手のプライドはボクは良いプライドと考えています。
こういう子供は宿題だってカンニングをしません。答えを写してやることがカッコ悪いことと思えるからね。
たとえば自分なんかよりもはるかにすげぇー奴が目の前に出現すれば、心もプライドも揺れるけれど、他人と比べてのプライドではなく、自分が自分に課したプライドは揺らぎはあっても、良い方向に左右するから。
もし、これが親から強制された点数や偏差値を与えられている場合はテストを受ける恐怖や不安は別の歪みとして出てくる。
たとえば腹が痛くなる、頭が痛くなる。テストを受けたくない…etc
だから親技では結果としての点数や偏差値で子供を問うな!といっています。
親が子供に何か言うなら結果じゃなくて過程について。
結果責任は親にあり、子供はテストまでの過程の勉強を頑張ればいいとも。
成績が良くても、そのあと続かなかったり、横道にそれる場合は、自分が自分に課した内部からプライドではなく、親から与えられた点数や偏差値によって外部からの与えられたプライドのためで、それはいずれ壊れていく。
成績が良い子のプライドには2種類あって、ボクが大事にすべきだと思っているのは、「自分が自分に課した内部からプライド」です。これが構築されると自分からやるからね、勉強も。
この前、野球部の練習帰りの子供に出会って少し話をしました。
この子は以前、こんなことを言っていた子供です。
その子と話したんですが・・・
「明日試合なんですよ」
「お~いいねえ。お前出られるの?」
「もちろんでますよ。かっ飛ばしますよ」
「いいねえ。かっ飛ばす気持ちはいいけれど、力は・・・」
「力を入れすぎるな!ですよね。力を入れるのはインパクトの瞬間だけでイイ、ですよね?」
「お前、ホント先回りして感じ悪いよ」
「センセーに説明されるより自分で説明しろ!じゃないんですか」
「こりゃあ、まいったねえ・・・明日は何時から試合なの?」
「明日は2時からです」
「じゃあ、午前中はやっぱりきっちり汗かいて準備・・・」
「いや、明日は集合が11時なんで、朝勉強します。テストも近いんで」
「お前、勉強なんか後回しだろ。明日の打席をイメージしてさあ・・・」
「やることやってないと気持ち悪いんですよ。朝からといっても2時間程度ですから。ちょっとやって行きます」
「そうか。頑張るなあ」
「いやあ、部活も忙しくて自主的な勉強は全然やってないんですよ。学校からの課題だけをやるって感じですから」
「中3になると、やっぱりあれか、中高一貫はきつくなるか?」
「いやあ、きついですね。毎日の課題をやるのが精いっぱいで踏み込んだ勉強はちょっとできてないです」
話したことを思い出してそのまま書いてみましたが、どんな印象ですか?
この子はもはや親がかりでなく、自分で勉強をしている子です。
その子が勉強は「やってない」「やれてない」という。
ただこの子がやれていないというのは、習ってきたことをより深く理解したり、踏み込んでやる自主的な勉強です。
学校から出る教科の課題や宿題はきっちりやって小テストも、定期テストも取ってる子。自らのプライドで自分に厳しくできる子供といえるでしょう。
「勉強やっていない」の意味が違いますよね。
こういう子供がよくいうのが「気持ち悪い」です。
なんだかすっきりしない、濡れた服を着替えずにずっとそのままでいるような感じなのでしょう。
さて、では現状、成績不振の子供にプライドはないのか?
皆さんはどう思います?
成績不振の子供にだって、成績が良い子と同様にプライドがある。そうボクは考えています。
いや、ある意味では成績が良い子以上のプライドが成績不振の子供にはあると思います。
ただ、成績が不振の子供がもっているプライドは成績が良い子がもっているプライドとは中身が違います。
成績が不振の子供がもっとも嫌う言葉はなにか?
わかります?
それは「お前はバカだなあ」です。
「こんなのもわからないの?」も嫌がるなあ。
「どうしてできないの?」なんて言われたらめちゃくちゃ怒りますよ。
成績が不振の子は勉強の場面によって、ふいにそんな言葉を投げかられることが多くなる。周りに悪気はなくても、先生や親から、同級生なんかからも言われたり、におわされたりする。
そして、それもだんだん言われなくなるんだけど、それは周りがそう思わなくなったんじゃなくて、「あいつはバカ」が周りの評価として確定するからなんですね。
この状態がいかにきつい状態かは大人なら誰でもわかりますよね。
会社で営業成績がイイ人が悪い人に「なんでこんな成績になるの? 普通じゃねーよ」なんて言われたら、怒りますよね? それと同じ。
で、結果的にと僕は考えているんですが、成績が不振な子供はそうした罵声や非難や見下された発言や態度を数々受けて、自分を守るためのプライドを持つ。
持たないと生きていけないとか生きにくいという感じでしょうか。
そう、バリアを自分の周りに構築するんですよね。
そして「お前、アホ」という発言や態度にある者は暴力で対抗したり、意地悪で対応したり、誰にも会わないように学校に行かなくなったりとかの行動に出る。
学校に行っても、誰とも話さない子供もいるし、先生からの問いかけも無視したり。とにかく「お前、アホ」とか「お前はバカ」とか言われたりするのを防ぐ方法を子供がそれぞれ考える。
誰にもバカにされない環境、それが暴力などによる積極的なものであれ、誰とも付き合わないという消極的なものであれ、自分が見下される状況にならないことに対して自分のプライドを使う。
こういう子供、ここまできてしまった子供に勉強をさせるのはなかなか骨が折れます。
家庭教師に行くとしましょう。中3としましょうか。
あれれ、文字式や方程式の計算のところよくわかってないじゃん!と気づきます。
「お前さあ、中3だけど1年の時の勉強をちょっと復習でやったほうがいいな」と言ったとしましょう。
めちゃくちゃ反発しますよ。
「オレは中3なのに、なんで中1のことやる必要があるんだ!」そういう感じです。
以前ここでも書きましたが、中3で分数や九九も怪しい子供を見たことがありますが、今学校でやっている因数分解なんかをやりたがる。
九九が怪しくて分数を間違う子供は小数の計算だって間違います。これに方程式がのっかって因数分解でしょ。
できないですよ。
それでも今度のテスト範囲になっている因数分解をどうしてもやりたい!と。
これまでの数学の点数は0点から10点未満です。それでもです。
「しょうがく4年生」なんて大きく書かれた問題集なんて必要だってしたくも見たくもない。
この子には本当に学ばさせてもらいました。人っていうものが、子供っていうのものがどういうものかを。
この子に「お前はバカだなあ」「こんなのもわからないの?」って言ったら、もうその人の言うことなんて聞く耳持たないです。どんないいことを言ってもね。
それぐらい自分を守るバリアが高くなっているということです。
まあ、これは極端な例ですが、中3だけど中2のことがわかっていない、中1のことがわかっていないなんてことは多々あることです。
中学受験だって、入試問題の過去問を一生懸命解いたって、小5の基本がわかってなきゃあ、解いたその日でその日にやった勉強はリセットになります。蓄積ゼロ。
だから、そこまで勉強が遅れてしまう前に早めに手を打たないといけないのが1つ。
もし不幸にも勉強が遅れてしまったら、そばにつくものはこれは前学年のこれがわかっていない、小学生の時の分数がわかっていないとしても、それをおくびにも出さずにやる自制心がいる。
さっきの中3の分数や九九も怪しい子供には、中3のテキストを開いたままで、これを解くためにはと、分数の通分やら小数やら方程式を「しょうがく4年生」のテキストなどは出さずに全部手書きでやりました。
めちゃくちゃ面倒くさいですよ、やらせるほうは。
でも、もうこじれているから、そうでもしないと子供も収まらない。
そういう子供でも、英単語はちゃんと覚えられます。人よりは覚えるのも遅いけどちゃんと覚える。
そして学校の小テストでイイ点数が取れれば、その場ではシラっとしていたようだけど、家に帰って親には一切報告しないけど、僕の前で100万ドルの笑顔で報告する。
ハイタッチ!
盆と正月3年分くらいの喜びはともに爆発させる!ヨッシャー!と。
たぶん小学校入ってからの9年間で勉強で喜んだのは初めてだったんじゃないか・・・
入試に間に合うのかって!?
間に合いません・・・
それでも学校でのたった5問の英単語の小テストで満点を取った喜びからスタートするしかないでしょ、その子にとっては。
良循環と悪循環は倍々ゲームで膨らんでいきます。
子供のプライドも「自分に厳しいプライド」と「相手から自分の身を守るプライド」に形を変えていきます。
「自分が自分に課した内部からのプライド」「自分に厳しいプライド」は「誇り」「自負心」になっていけば本来のプライドになりうる。
今、成績が良い子供でも「親から与えられた外部からのプライド」であれば、それは「自慢」「うぬぼれ」「高慢」「思い上がり」のプライドに変化する。
そして、成績不振の子供はプライド、ここでは「自らの誇り」を守るために、勉強の話はしない、勉強には触れないなどして、勉強から遠ざかることで身を守り、バカにされて「自らの誇り」が傷つかないようにする。
先生や親と話なんかしてたら、どっかで「勉強が・・・・」って話になるからね。
その上、分数や九九が怪しい子供も、今はみんな高校入試を受けるでしょ?
だから、どっかで「自らの誇り」を守るために防御的に構築した強固な要塞から出てこざるを得ない。
出ていった時に、そこに立ちはだかる壁はエベレストなんかよりもはるかに高い壁に見えるでしょう。
今日の結果はこれまでしてきたことの結果です。
子供の各種の今の「プライド」は、これまでしてきたことの結果です。
修正するなら早いほうがいいとボクは思います。軌道修正に手を貸してやれるなら親が手を貸してやったらイイと思う。
子供の人生なんだから、子供が自分で頭を打ちながら自分で学べばいいと思うなら、そうしたらいい。
しかし、たった15年の子供たちの人生で子供たちの「プライド」はまるで別物に変化していきます。
その変化はもう手遅れなんじゃないかと思えるほど差がある。それでも思い立った時がスタートなんですけどね。
まだまだ15年や12年程度では確固たる「プライド」ではないでしょう。真のプライドの確立には正しい方向への誘導がいる。
その正しさは幾通りもあり、親の価値観でもあります。
この前、テレビで見た映画『草原の椅子』で長老がこんなことを言っていました。
正しいことを繰り返し行いなさい
間違ったことを繰り返し行うということは「0」ではないですよね?
そうマイナスです。
マイナスにマイナスに、数直線で言えば左に左に毎日進むことになります。
正しいことを繰り返し行うとは、プラスにプラスに、数直線で言えば、右へ右へ進むことになります。その差は倍々でつきます。
そして子供は「正しいことを繰り返し行う」場合も、「間違ったことを繰り返し行う」場合も、ある地点からは1つずつではなく、加速して自ら進んでいきます。
そこに登場する親がプラスしていくのか、マイナスしていくのか。足すのか引くのか。マイナスにマイナスを掛けると符号はプラスになります。
しかし、マイナスの子供にマイナスを掛けなきゃいけない親が、実はそもそも子供をマイナスに追いやった親だから、引き算しか知らない悲劇もある。
アインシュタインはこう言ったとか・・・
狂気。それは、同じ事を繰り返し行い、違う結果を予期すること。
我々の直面する重要な問題は、その問題を作ったときと同じ考えのレベルで、解決することはできない。
あなたにとって、あなたのお子さんに正しいことってなんですか?
ぜひ一度考えてみてください。
[復テ対策] メンバーさんからの報告
小5 うさぎさん
幼い頃から、娘の勉強にずっとつきあって二人三脚でやってきました。去年までは時間的にもゆとりがあって、娘本人がやりたいように試行錯誤しながら勉強するのを見守っていることが多かった私。
ところが5年クラスに上がってから、思うような結果が出せずに、娘は苛立ち焦りました。無理を重ねて気力も体力も成績も乱高下。
でも、私ははっきり言ってやることが出来ました。
「母さん、勉強してんねん。大丈夫!助けてあげられるわ」って。トライ&エラーしながら必ずや、娘との約束を果たそうと思います。(かつての「頼りない母親」とはおさらばです)
前々回のテストでで親が気を抜きましたら、あろうことか50点でした(100点満点の)!!
大泣きで、どうしようかと思いましたが、昨日のテストではA問題のみにしぼり、いけドンシートの問題の内容のみにこだわってやったら、なんとか90点でした。
来週は学校行事で自然学校(1週間)です。それにそなえて準備と分析と対策に励むつもりです。いつも的確なアドバイスありがとうございます。
娘さんとの約束については手ごたえあり!ですね。手を抜かなければ点数が叩きだせるということがわかっただけでもイイことです。
あとはA問題の鮮度にも十分気をつけておいたらいいですね。これからもどんどん成果を出していきましょう!