こんにちは、ストロング宮迫です。

全国の高校入試も今週が最終週ってことになります。

たくさんのメールをいただいておりますが、返信が追い付いておりません。もうしばらくお待ちくださいませ。

今年もたくさんの入試問題を見てきましたが、あなたも1つくらいは見たり、解いたりしてみたでしょうかね。

問題を公開している都道府県もありますから、ぜひ時間を計ってやってみてください。

親技では実際に親の方に解いてみてください、子供と真剣勝負で競争してみてくださいって提案しているんですが、たいていは拒否されたり、却下されたりするのが定番です。

理由は「子供の勉強ですからねえ…私が解いても仕方がないでしょっ」って感じかなぁ。

できないとイヤだからっていうのもあるのかもしれない。

でも、その「やりたくねぇーな」「メンドーだな」って感覚こそがあなたの子供が引っ掛かっている部分でもあります。

そうしたことを考えながら、ひとまず1教科頑張ってみる。試しにやってみる。その際は中学入試の問題でもいいですが、ほとんどの方に馴染みがある高校入試の問題がおススメです。昔取った杵柄でね。自分が住んでいる県の問題をやったらイイですね。

ただし、人口が多い都市部、首都圏の問題が最も難しく、首都圏から離れて人口が少なくなっていくほど問題は易しくなっていく傾向があるってことは知ったうえでやったらいいですね。

サクサクできる方もいるでしょうし、全然点が獲れない方もいるでしょう。それはかまわない。

大事なのは、問題を解いているときのムズムズした座りの悪いあの感じを感じること、そして、今はどういうことが問われようとしているのかなって視点で問題を解いてみるんです。

埼玉県なんかでは、各年度の全体分析から各教科の分析まで公表してる。メチャメチャ詳しいよ。

別に埼玉に住んでなくても、埼玉の高校入試の問題を解いてみて、その時の自分の感覚と分析結果を照らし合わせてみたらイイ。1年分やれば、なんとなくでも「今、問われようとしていること」についてわかるでしょう。

これは今、盛んに議論されている大学入試改革にもつながる話ですからね。

でも、改革の議論の話を延々と聞くくらいなら、公立中高一貫校の問題、たとえば東京都立桜修館中等教育学校の問題を解いてみるほうが話は早い。

適性検査2つ、90分でわかる!「今、問われようととしていること」についてがね。

この手の問題が解ける子供ってどんな子供なんだろうか?って自分で解きながら考えてみてほしい。

私たちの生活の中にこれらの問題を解ける素地が育まれているだろうか?

解けばね、自分の子供にこうしたらどうだろうってことを思いつく。エライ先生の話なんか聞かなくても自分で感じられる。エライ先生の話は自分で感じたあとに確認で聞けばイイ。

あなたが子供に求めている「受け身ではない能動的な動き」をまずは数時間であなたがやってみる。そのときの感じを忘れないで。これが第一歩。

この前、国語の問題を見てたら、外山滋比古さんのロングセラー「思考の整理学」が使われていた。30年前の本だけど、いまだに入試問題に出るんだなあ。


この中の有名な「見つめる鍋は煮詰まらない」だったか、「見つめるなべは煮え立たない」だったかの、あなたもよく知っているあの話が出てた。
見つめる鍋は煮詰まらない

あなたはこれをどう捉えますか?

まだかな、まだかなってしょっちゅう鍋のふたを開けてると、煮たつ間がないよって考えてもいいし、少し待つことが必要って考えてもいいし、それはあなたの自由です。

親は、しょっちゅう「子供という名の鍋」の蓋を開けてしまいがちだ。親は「まだかな?」って思うもんだからね。で、つい言っちゃう「いつになったら沸騰するの?」って、「鍋」にね。

でもね、火をつけてすぐに沸騰なんかしないんですよ。

ですよね?

なのに、まだか、まだかって沸騰をせかす、すなわち「見つめる鍋は煮詰まらない」。

よく考えてほしいのは、火をつけたら温度は上がるんですよ。すぐに沸騰はしないけれど、確実に温度は上がってる。鍋を見つめてもいいけれど、蓋をしょっちゅう開けてもかまわないけれど、そこで見るのは「沸騰したかな?」ではなく、「温度は上がってるかな?」ってとこです。

多くの親が子供の勉強でしようとしているのは「点火即沸騰」だ。

それはムリですよ。

加えて、即沸騰しなかったら「やる気がない」とか「頭が悪い」、つまり鍋(子供)の性能が悪いように言っちゃう。

でもよく見て!温度は上がってるんじゃない?

20℃だったものは30℃くらいには、火をつけたらなるもんです。即100℃にはならないけれど、その過程の温度が上がっている部分を見ないと、結局「見つめる鍋は煮詰まらない」になっちゃう。

入試問題を解くと、こういうヒントが得られる機会が与えられる。これでやっとあなたも「いっちょう、問題を解いてみるか?」って気になってくれたでしょうか。

ならないって!?”(-“”-)”

楽しくないの?「見つめる鍋は煮詰まらない」のお話は…

ここで諦めてやめないのがボクの美点だ。

では、もういっちょう!平成26年度の福岡県の公立高校入試の国語の問題からです。

1番の問題の出典はいま、この研究がおもしろい (岩波ジュニア新書)の第一章、池谷裕二さんの「薬の開発のために脳をきわめる」からだ。

池谷裕二さんのツイートをボクは楽しみに見てるし、ここでもでその著書を取り上げたことがある。


おもしろい人はおもしろいことを考えてるっていう典型的な人でしょう。

いくよ、1番!

池谷裕二「薬の開発のために脳をきわめる」より

薬学部で私が配属された当時、研究室を統括されていた斎藤洋教授は、嘔吐の研究で国際的な知名度を誇っていました。理由は「嘔吐する小型動物」を発見したからです。この意味がわかるでしょうか。これはとても画期的なことだったのです。


このとき斎藤教授と周囲の研究者の違いはなんだったでしょうか。そうです。斎藤教授は「問題意識」をもっていたのです。嘔吐の研究には今どんな問題があって、なにが望まれているのかを知っていたのです。


「発見」とは単に「初めて見る」という意味ではありません。「ただ見る」だけでは発見ではありません。目の前の事実の重要性に気づいてこそ「発見」なのです。

重要性に気づくためには「問題意識」をもっていなければなりません。一体、自分は何を知りたいのか、世間が何を欲しているのか、何がまだ解明されていないのか、どんな事実がわかれば、その後どんな道が開けるのか。こうした問題意識をもっていなければ発見はありえません。


発見や発明のアイデアは神様が与えてくれるものでばありません。むしろ、それまでにどれほど努力と勉学を重ねてきたかにかかっています。科学者はこれを「セレンディピティ(serendipity)」とよびます。思いがけない発見をする才能。単なる偶然ではなく、訪れた幸運を自分のものにできる能力。発見は周到に準備した者だけに訪れる ― 絶対に忘れてはならない研究者の戒めです。


親技では「子供を観察する」とか「子供を観る」っていうけれど、池谷先生のフレーズをもう一度声に出して読んでみてほしい。

「発見」とは単に「初めて見る」という意味ではありません。
「ただ見る」だけでは発見ではありません。
目の前の事実の重要性に気づいてこそ「発見」なのです。
重要性に気づくためには「問題意識」をもっていなければなりません。
一体、自分は何を知りたいのか、世間が何を欲しているのか、
何がまだ解明されていないのか、どんな事実がわかれば、その後どんな道が開けるのか。
こうした問題意識をもっていなければ発見はありえません。

もしかして、子供を「ただ見てる」なんてしてないですよね?

でも、それじゃ「発見」はない。子供の勉強を一度見てみろっていうから見たけど、腹が立っただけだ…とかね。

問題意識のない人に発見はありません。あなたは「何を知りたいのか?」「どんな事実がわかれば、その後どんな道が開けるのか」。


入試問題を解いて、「何が問われようとしているのか?」を知りつつ、こんなおもしろい文章にも出会える!

これで入試問題を親が解くモチベーションは一層上がるんじゃないのか?

全然ダメ?($・・)/~~~

あなた、手ごわいね…では最後にもういっちょう!福岡県の2番の問題文だ!

問題2番の出典は日本人の忘れもの―京都、こころここにに収録されている千宗室さんの「工夫してみる」からです。

千宗室「工夫してみる」より

・・・それが今年はどうだったろう。貴船の水まつりが終わった途端、挨拶なしで真夏になった。陽光は叩きつけるように降り注ぐ、正に怒涛の勢いである。


茶の湯では季節を遮断しない。どのように手強い一日を迎えても、それと折り合いをつける道を探す。確かに猛暑だとそこから離れたくたる。しかし、茶室にはエアコンはない。扇風機もない。涼しくするのは難しい。但し、涼しく感じあう工夫がある。その工夫することが暑さとの折り合いをつける手立てなのだ。

たとえば七月や八月だと、水差の蓋代わりに梶の葉や蓮の葉などを用いる点前がある。葉の上には水滴を打つ。よく見ると席中に入り込む昼の日差しが水滴に閉じ込められ、ぷるぷる震えている。一瞬、暑さが遠のく。

工夫、と記してきたが、それは茶の湯の世界だけのものではない。誰でも出来るし、どこにでもある。面倒くさがらなければ、だが。

スイカを思い浮かべていただきたい。夏の日に付き物のお八つだった。それがいつの間にか主役の座から下り、アイスクリームなどに取って代わられた。確かにお菓子類だと買うのは簡単で、始末も手軽だ。スイカはそうはいかない。冷やして切り分けなくては口に入らない。切り分けてあればそれでよいかというとそうでもない。スーパーなどで切り売りしてあるものからは既に涼味が失せている。

冷やした丸ごとのスイカを目の前に置く。なんとなくその頭を叩き、それから包丁の刃を差し込む。途中までいったらそこで割るように分ける。そのときパカッと音が立つ。そうして中から冷気が逃げてくる。それが顔をかすめるとき、瞬く間だが夏の昼下がりから刺々しさが消える。冷やし、切り分ける、という手間はかかるが、それだけの価値がある。

何でも手に入る世の中になった。だから私たちは贅沢になり我儘になった。心も体も動かさず、依頼ぱかりするのに慣れきった己を戒め、たまには手の届くものでやりくりしてみては如何だろう。工夫することによって得られる満足感は、流通に乗って手元に届けられるものとは一味違う。そう私は思っている。

おもしろいねえ!(^^)!

涼しく感じあう工夫なんてイイ響きだ。工夫して折り合いをつける。

点火即沸騰なんてハナから求めない。だって行き着く先は地獄だからさ。

うん、手に届くものでやりくりする!工夫しておもしろくする!おもしろい人は、おもしろいことを考えてるんだから。

おもしろくない人は、……これは言わないでおきます。

さあ、梅は咲いた!今度は桜だ!

10の鉄則

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対象:就学前、小学生、中学生の親

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