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岩手日報【日報論壇】【ナースキャップは不要か】

「英語のエキス」の著者佐香武彦さんが2012年12月20日の岩手日報【日報論壇】に投稿された内容です。

ファッションの一言で片付けられているようだが、よく見かけるオカシナ格好がある。

中でも、ところ構わずかぶられている帽子が気になる。私は「屋根のあるところや食事をするとき、また改まった席や年上と同席するときなどに帽子をかぶったままではおかしい。失礼だ。」と厳しく言われた。
 
さらに、調理をする人や、その関係者は髪の毛を落とさないようかぶり物をすることが要求されていたし、無精ひげを生やした料理人は、不潔な印象を与えることでもあり、心得を厳しく説かれたものだ。だが、最近は注意してくれる人や教えてくれる人はあまりいなくなったようだ。
 
ボロボロに破れたジーンズを履いている人を見ることもある。いくらそれが高価だと言っても、「だらしがない」という印象を与えるから、本人が思うほど良く受け止められていないのではないだろうか。
 
このところ、ナースキャップをかぶらない看護師が多くなった。「ナースキャップを見て泣き出す子がいる。仕事中にぶつける可能性がある。」などが主な理由のようだが、キャップを見て泣き出す子どもが本当に大勢いるのだろうか。かぶれば、仕事の妨げとなるほど、しょっちゅうどこかにぶつけるのだろうか。
 
かぶらない場合は、せめて患者に不快な思いをさせないような工夫をしてほしい。注射、点滴、血圧測定など、主要な作業のどれもが前かがみで患者の目の前で行われるのだから、目が隠れんばかりにダラリと垂れ下がった長い髪にはハラハラする。仕事場とプライベートな時間帯とでは、受け入れられる姿や格好は違ってこよう。
 
ある開業医のところでは、看護師全員がキャップをかぶっているので、看護師長にそれとなく聞いてみた。「これは看護師の身だしなみですから」と返ってきた。また、ある若い看護師は「ナースキャップに憧れていたのですが、周囲の人がかぶらないので私もかぶれません」と言っていた。
 
戴帽式で、ナースキャップをかぶっている初々しい看護師を新聞紙上で見ることが多いが、もしも現在のナースキャップがそんなに嫌われているのだったら、いっそのこと看護師たちがかぶりたくなるようなすてきなデザインのものを考案してはどうだろう。

大変な仕事をしている看護師にはナースキャップがよく似合うのだから。