「この状況の子どもの心境について真剣に考えてみる」

成績がイイ子だって塾をやめたくなります。

それはなぜ?成績がイイ子には今の成績を維持、或いはアップさせるにはどれくらいの勉強が必要かがわかります。

すると、「今のままじゃあ、この先無理!」と見積もることも。

これは、受験に臨む態勢の再構築を迫るサインが出ているのかもしれません。

もしかしたら、塾のカリキュラムや進め方が合わないことだってあるのです。

もう一度、現状について子どもと一緒に再確認してみることをお勧めします。

「親技」って何?

子どもの頑張りはそのままで、親の工夫や頑張りで成績を上げるノウハウを「親技(おやわざ)」といいます。勉強に関する様々な悩みを子ども任せにせず、親子で取り組んでいきたい方にお勧めです。

頑張りそのままで、成績を上げたい方はこちら

さて、ここからはもう少し詳しく「成績は良いのに塾をやめたいと言い出した。どうすべき?」というテーマで話を進めていきますね。

先日のメールで、小5の娘が精神的に下降気味だと書きましたが、とうとう昨夜「塾をやめたい。」と言い出しました。

春季講習後、勉強したいのに勉強できない・・

という期間が1週間ほど続いていました。

その後、持ち直し勉強を始めたのですが、その期間のしわ寄せが今週に押し寄せ、私も宿題を選別して、やり切れる量まで減らしてやったのですが、結局本人が「宿題に追われる」という事態に疲れ切ってしまい、今日は塾に行くことができませんでした。

塾の担任に相談したところ、

「まじめで無口なので、貯め込むだけ貯め込んで、身動きがとれなくなっているのでは。少し勉強から離れ、胸につかえているものを吐き出させてやったほうがいいと思います。」

と言われました。

この時期は少し授業を休んでも、それほど遅れることはないし、娘はこのまま遊びに走って勉強しなくなるタイプの子ではない。一時的なものなので、自分から塾に足が向くのを待って上げて下さい・・・・とも。

本当に心身ともに疲れていたのでしょう。いつも寝つきが悪く、布団に入ってから30分以上眠れない娘なのですが、今夜はほっとしたのかリビングで倒れ込むように寝込んでいました。

とりあえず、担任の先生のアドバイスに従い、ゴールデンウィーク明けまでこのまま様子を見ようと決めたのですが、本当にこれで良いのか迷っています。

ただ、本人は塾には行きたくないが、中学受験はやめない。家で一人で勉強して、高望みせず入れる学校に入る・・・と言っています。

志望校に関しては、しっかり勉強する生徒がそろっている、ある程度偏差値の高い進学校の方が、周りから干渉されることが苦手な娘には合っている・・・と担任の方からも言われていますし、私も同じ意見です。

「入れる学校に入る」では、入ってから後悔すると思うのです。

ですから、このまま塾に行けなくなってしまうのが、一番心配です。

ご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

小5になって塾の勉強が忙しくやる気が下降気味との報告をもらった矢先のできごと。

子供が塾を辞めたいと・・・

相談者さんからすれば、悪い予感が的中した!といったとこでしょうか(>_<)

中学受験を目指し小4から塾に通いはじめ、小5になって塾の勉強が嫌になる子供たちはホント多いんです。

勉強する内容だって難しくなるし、量も増える・・・

特に、4年のときでさえ成績がさえない子供たちにとっては、5年になってからの勉強は苦痛以外のなにものでもありません。

親のみなさんは、この状況の子供たちの心境について真剣に考えてあげてほしいものです。

親は子供に対して何をすべきかと?

しかし、相談者さんの場合は、ちょっと事情が違う。

以前の報告を一部抜粋しますと

この1年、何度もメルマガや「10の鉄則」を読み返しながら、壁が現れるたびに、「壁が現れるのはそれを乗り越える力があるからだ!」と自分に言い聞かし、トライアンドエラーで娘と2人、中学受験にむけてがんばってきました。

今現在の状況は、塾の最上位クラス、成績は上下運動を繰り返しながらも、じりじりと上がり、偏差値60はほぼキープできる状態です。

子供も「楽しんで勉強ができるようになりたい。」と、4年の後半は少しずつ、自分から時間をみつけては塾の宿題に取り組むようにもなりました。

相談者さんの場合、これまで順調に成績が上がって偏差値も60キープ。塾も最上位クラス。

つまり、勉強をした分、成果を出されてきたわけですね。

それも頑張ったうえで、「ジリジリ」と成績を上げてきたわけです。

やってもやっても成果が出ない状況とは違い、実に立派な軌跡を描いてここまで来たわけです。

なのに、勉強が大変だからって塾をやめたいってどうして?と。

実は、この事態はちとやっかいでして、取扱い注意なんです。

それをわかってもらうために、子供の心境を考えながら、話を進めてみましょう。

まずは、子供自身の気持ちについて。

偏差値は60あるわけですから、落ちこぼれてるという感覚はないでしょう。

といっても、勉強をするのはしんどい。

ここまで上げてきた勉強これからキープする勉強これから上げていく勉強

そのしんどさがすごくよくわかっていると思うのです。

この感覚は、成績がイイ子にしか理解できないと思います。

もちろん、私もこの感覚は持ち合しておりません(>_<)

成績がイイ子をそばで見ていて感じることなんですが、成績が良くなればなるほど、焦ったりすることが多いような気がします。

ここでいう「焦る」とは悪い意味でなく、勉強を計画的に進めいく上で、自分に厳しくハードルを設定しているために焦ってしまうわけです。

まさに、

自分で自分を追い込んでいる状態

なわけです。

一定レベルの成績をキープするためにとても大切なことでもあります。

相談者さんのお子さんはそれができている。

だから、

習った内容をこのくらい理解したら偏差値60はキープできる。そのためには、このぐらいの勉強が必要。

といった逆算ができていると思うのです。

そして、その逆算ができることによって、今の状況から今後を考えると

「今のままじゃあ、この先無理!」

とお子さん自身が見積ったのではないでしょうか?

このまま成績をキープするか、さらに上を目指すと考えたら、もっとやらなければならないと。

これまでにも十分頑張ってきた上に、さらにその上に・・・・と。

それを強く感じたから、「塾をやめたい」という言葉になったんじゃないか。

あくまでも想像ですが、そう思えるのです。

これはある程度の成績を取っている上げ潮の子供が何度か遭遇することでもあります。

この危機を乗り切る際に、

子供に強い志望動機があるともに励ましあうライバル&親友がいることで乗り切ったりできる場合があります。

はたまた子供自身が「鈍感である」ことで乗り切ったり、なんともいえない苦しい胸の内をすくってくれてフォローしてくれる人がいることで乗り切れる場合もあったりします。

しかし、このお子さんのような真面目で律義でしっかりしたお子さんが休むことで乗り切った例を知りません。

塾の先生の言う

「まじめで無口なので、貯め込むだけ貯め込んで、身動きがとれなくなっているのでは。少し勉強から離れ、胸につかえているものを吐き出させてやったほうがいいと思います。」

接してもいない、本当の内情を知らない私が言うべきではないことかもしれません。

が、「休む」ことが「クスリ」になるとはどうしても思えない。

塾の勉強に参加しなければどれぐらい遅れるか追いつくにはどれだけ大変な努力が必要か

これがある程度、見積もれる子供にとっては、「休む」ことが胸のつかえをとることにも、吐き出させることにもならないとストロングは思うんです。

だって、精神的に下降気味で勉強をしなければいけないのに、勉強ができなかった結果、

その期間のしわ寄せが今週に押し寄せ、私も宿題を選別して、やり切れる量まで減らしてやったのですが、結局本人が「宿題に追われる」という事態に疲れ切ってしまい、今日は塾に行くことができませんでした。

という事態をすでに経験しているわけです。

すでに書きましたが、こういう面から、きっとずいぶん真面目なお子さんなんだと思った次第です。

休んで、そこからしばらくして復帰ということを目指すとすれば、性格からしても今以上に苦しむことになりはしないか。

かといって、今よりも目標を下げたとしても、自分から頑張る子はプライドだってあります。

今いるクラスを落ち、下のクラスでゆっくり勉強することに納得するかといえば、おそらくそれはできないでしょう。

そうした状況をあれこれ考えてみますと、お子さんは自身、よくよく考えたうえで、今回の「やめたい」を言っているようにも思えてきます。

でも、受験なんてどうでもいいというんじゃない。ただ、

本人は塾には行きたくないが、中学受験はやめない。

家で一人で勉強して、高望みせず入れる学校に入る・・・と

これなんかは、正直ですが、かつ強い意志とプライドを感じます。

私が、「取扱い注意」といったのは、勉強の見積もりや自己の分析ができた上で、プライドもあるからなんですね。

相談者さんが心配している

このまま塾に行けなくなってしまうのが、一番心配です。

の可能性は高いと言わざるをえません。

塾の先生は「少し休んで」という意見。

しかし、先に書いたように休めば休むほど、子供自身の真面目な性格とやり遂げようとするプライドから、苦しくなる。

休んだ時のものを完璧に挽回しようとすれば、というよりするでしょうから、苦しくなる。

そういう意味で、「塾を休む」というのは大きなリスク、今通っている塾に通えなくリスクが大きくなると思います。

では、どうすべきなのか?

今回の相談は、想像と推測も兼ねて、書いていますので、ズバリこれで!という回答が言えません。

私が言えることは、

もう一度、お子さんと受験についてしっかり話し合うこと

これまでしっかりと勉強をみてきた相談者さんのことです。

もちろん、そんなことはやっていると思います。

ですが、今一度、お子さんの本当の胸の内をじっくり、そして、しっかりと聞いてみてほしいのです。

幸い、今は受験学年ではなく5年生。

確かに5年生でも勉強が停滞するのはロスです。

しかし、これまでやってきたことも踏まえて、成績は上がってきたけど、精神面での赤信号が点ったわけです。

このまま無理にやっても、再びどこかでまた同じような「精神的な下降」の問題が出てくるはずです。

いいチャンスです。

  • どういうスタンスで中学受験をしていくのか
  • 塾とどう付き合っていくのか

はもちろんですが、今回の問題で乗り切る材料になりそうな、

  • 強い志望動機がある
  • ともに励ましあうライバル&親友がいる
  • なんともいえない苦しい胸の内をすくってくれてフォローしてくれる人がいないか

なども含めて、語り合ってみてほしいのです。

それはもう知っているではなく、知っていることも、じっくり耳を傾けてみてほしいのです。

そして、たとえば、相談者さんは、お子さんを分析して、

志望校に関しては、しっかり勉強する生徒がそろっている、ある程度偏差値の高い進学校の方が、周りから干渉されることが苦手な娘には合っている・・・と担任の方からも言われていますし、私も同じ意見です。

この分析は、果たして本当にそうなのか?

この分析はお子さんを的確に言い当てているのかどうか?

これについても、考えてみてほしいのです。

相談者さんは、今までそう信じて、また塾の先生の見立てとも合致したわけですから、当たっている可能性も大いにあります。

そう信じてきたから、これまでそばについて、大変な努力もしてこられたのでしょう。

でも、今までのやり方は続けられないという子供からのリアクションが出たわけです。

通常、今回と似たような話が出たとき、私は

「それは逃げですね。勉強から逃げる口実でしょう。」

と判定し、塾に行かせるようにどう仕向けるかをお話しすることも多いです。

が、今回のメールを読む限り、「逃げ」ではなく、受験に臨む態勢の再構築を迫るサインが出ているように思えるのです。

もし、

しっかり勉強する生徒がそろっている、ある程度偏差値の高い進学校の方が、周りから干渉されることが苦手な娘には合っている・・・

この見立てが間違っていたとしたら、もっと極端にいえば、逆であれば、どうなるでしょうか?

今やっている勉強の態勢はそのまま継続となるのか?

どうでしょう?

この3月、関西でも、また、東京に行った際に受験を終えた方と何人もお話しました。

そのときにも、受験を終えて、1年経って、2年経ってみて、親が思っていた「子供の見立てが違っていた」という話を伺いました。

たとえば「この子は自分では自発的にできない子供なので、中学校自体がガンガンやらせてくれるところのほうがいい」。

そう考えて、ガンガン勉強を学校がさせてくれる中学校を志望する人って多いですよね。

でも、実際はのんびりとした中学校に進学した。

どうなるものかと思っていたが、実は子供にはピッタリ合っていたと。いや、実はこっちのほうが合っていた・・・

少しずつだが、自分で勉強ができるようにもなっているとか。

親には、誰でも子供に対する見立てがあって、「こっちのほうが子供に合っているんじゃないか」と考えれば、そっちに進むように仕向けていきます。

私だって、そうです。

でも、なんらかのサイン、それも悪いサインが出たときは、「虚心坦懐」に話し合う必要があると思うのです。

それは子供の胸の内を聞くのは当然ながら、親の「見立て」についても検証し、もっといえばその親の見立てを「子供にぶつけてみる」必要もあると思います。

「お前、そういうことを考えていたか」という点が出てくる可能性もある。

勉強のやり方は良かったんです、成績はじりじり上がって、成果が出てきたわけですから。

でも、勉強の進め方、お子さんへの負荷のかかり方は、「ちょっと待ってサイン」が出たということなのです。思い切っていえば、「このまま塾に行けなくなって」しまってもいいんじゃないでしょうか。

それは今通う塾に「通えなくなる」ということで、他の塾であれば通える可能性もあります。

宿題の出され方、先生のフォロー、クラスメイト、通塾時間、授業形態、特別講座にテスト形式など、入塾前に考えていたことと今はどうでしょうか?

想像していたのと一緒だったか、違ったか。

繰り返しますが、成果が出ているということは、お子さんに才能があったということですし、プラス勉強のやり方も良かったということ。

でも、塾のカリキュラムや進め方が合わないことだってあるのです。

塾が悪いと言いたいのではないのです。

そういうことも含めて、「虚心坦懐」に入塾前からここまを振り返って、「どこからボタンの掛け違いをしたのか?」をお子さんと話し合ってみる。

話し合いの時間は一見勉強にとってはロスに思えますが、これから2年という長い負荷のかかる生活を乗り切っていかねばならないのです。

胸のつかえを取るために「勉強を休む」のは得策とは言えませんが、改めてスタートするために、「勉強を忘れて」お子さんと話し合うのは、大事な、いや中学受験において必要不可欠なことだと思います。

「親技」って何?

子どもの頑張りはそのままで、親の工夫や頑張りで成績を上げるノウハウを「親技(おやわざ)」といいます。勉強に関する様々な悩みを子ども任せにせず、親子で取り組んでいきたい方にお勧めです。

頑張りそのままで、成績を上げたい方はこちら