小4 Yさん
塾に通って一年になります。
ここに入れればいいなあと思っている第一志望校があります。
が、塾の先生からは、この一年間の偏差値がその学校を5以上、上回っているという理由で、さらに上の最難関校を目指してはどうかと言われました。
もちろん、先生のリップサービス、営業トークが半分入っていることは承知しています。
親としてはあまり子供に負担をかけたくないという思いはあるのですが、本人のモチベーションの問題として、上の学校を目標としたほうがよいでしょうか?
志望校の偏差値を大きく上回っているため、さらに難しい学校を目指してはどうかと塾の先生に言われたそうです。
うらやましい~!!!なんて思う方も多いでしょうが、目標の成績をクリアできていればいたで、さらに上を目指すべきかと悩んでいらっしゃいます。
ホント、親の悩みはつきないものですねえ(^_^)
塾の先生から勧められても「先生のリップサービス、営業トークが半分入っている」ことを含んで考えていかねばと冷静です。
確かに、塾の先生の仕事は教えるだけでなく、営業マンとしての仕事も兼ね備えているもの。
ですから、土日にオプションとして行われる特別講座や長期休みの講習会などにより多くの生徒を参加させるためのトークに力が入ったりもする。
ただですね、ストロングなんかもそうですが、生徒たちを指導する立場として生徒たちの成長は何よりもうれしいものであることはどの先生でも同じであると思います。
なので、時期から考えても、まだまだ余力あるなと思う生徒には、「今の志望校」を万全にする意味も込めて、もう1つ上を目指すようにススメるのはごく自然なことだと思います。
ストロングだって、きっとそう言うでしょう。
なので、ここでは塾の先生の「真意」を考えるのではなく、目標の学校の偏差値を上回った場合、さらに上を目指すべきかについて考えてみたいと思います。
そもそもの話として、目標は「現状よりも上」に設定すると考えている親の方は多いようです。
特に子供のことになると、親は「上を目指せ!上を目指せ!」とやっきになります。
「どうもウチの子には欲がない」と思ったりしてね(^_^)
ただですね、親の皆さんには場合によっては「弊害もある」ってことを知っておいて欲しいのです。
なにがって、つまり、目標は「現状よりも上」に設定することから来る弊害です(>_<)
特に、「目標は高いに越したことはない!」とお思いの方は、要注意ですぞ!
では、どんな人に弊害が及ぶのか?
これはカンタンです!!
ハイ、目標を達成するための「努力」をしない人
「人」というのは、子供であり、親でもあります。
こういう方は、そもそも「目標」自体を立てることが危険ですな。自分の今の偏差値より高い学校を志望校にしているにもかかわらず、努力はしない・・・。
えっ、当てはまった!?
ハハハ、まだ今のところ大丈夫です!
目標は高くても頑張らない子供なんてザラ。石を投げれば、必ず当たる!くらいいます。
もちろん、よろしくない事態であることには変わりませんが、挽回の余地はあります(^_^)
もちろん、その場合は、お察しの通り、親の出番です!「ウチの子は欲がない!」なんて言っていたんではなにも改善されませんからね。
親の役目は、目標を達成するための「作戦」を立て「協力」する
つまり、「子供が努力しない」ことへのフォローです。間違ってほしくないのは、子供の努力が必要ないと言っているのではありません。
もちろん、子供の努力は求められるのですが、まずは親が協力することで、最終的に子供の努力を誘導し、引き出すことが目的ですから。
もし、子供が努力しないタイプで、かつ親のフォローがないとなれば、チーンとなります。これはオレオレ詐欺ならぬ、ヤルヤル詐欺になってしまいますからねえ。
当然、目標は達成できません。
でも、それだけじゃない!!この場合、目標を高く設定する弊害は、今よりも成績が下がるといった事態が起きてしまうということなのです。
志望校の合格圏内に届かずもがき苦しむ受験生は、たくさんいます。でも、目標に届こうと努力できているなら、その目標設定はイイ方向に向いているといえます。
しかし、目標に伴う子供自身の努力がないだけでなく、親の協力もない状況において、目標を高く設定することは結果的に「負」の影響を与えることになるのです。
今回の場合ですと、偏差値が志望校を5以上上回っている状況。ということは、今のところ、志望校の合格圏内にいるし、同学年でいえば、合格に一番近い位置にいるといえるでしょう。
であるなら、さらに高い目標設定を掲げる場合、
◆目標を上げることで、子供はもっと頑張るようになるだろうか?
◆親に成績をさらに上げる作戦や協力ができるか?
この2つがあるかどうか。
この2点の有無が「上の学校を目標としたほうがよいでしょうか?」の答えを導き出す際のポイントになるでしょう。
通常、志望校の偏差値が5上がれば、求められてくるものに違いが出てきます。
すごく単純化して言えば、たとえば、
偏差値50と55
偏差値55と60
偏差値60と65
志望校の偏差値が5違えば、やることも、求められることも、かわってきます。
よく「1つの壁」があるという言い方をメルマガではしていますが、「偏差値5」はまさに1つの壁を越えた先にあるといえます。
壁ですから、すぐ乗り越えられる壁もあれば、どうにもクリアできない壁もある。その違いは、ひとえに「今の子供の状況」にかかっているわけです。
すでに現状でプラス偏差値5を達成していますから、もしかしたら、現状の志望校の1つ上の壁をすでにクリアしている可能性もあります。
たとえば、Yさんの現在の志望校が偏差値55で、お子さんの偏差値は60。
塾の先生の言う「さらに上の最難関校を目指して」という言葉から考えると、もう少し頑張って「最難関校」の偏差値65以上を目指しませんか?ということなのかもしれません。
となれば、偏差値62あたりで出てくるであろう「1つの壁」の突破を目指しませんかという提案となります。
このあたりになると、お子さんの意志や動機が突破の大きな要因となるとともに、塾の先生との関わりもかなり密接になるハズですから、そのあたりを考えて、目標をどうするかを判断していくべきだと思います。
多くの受験生の家庭では、「それではもう1つ上でお願いします」という答えになることが多いようですが・・・
ただ、「志望校を高く設定する」ことだけが選択肢ではないとストロングは思っています。
これは「上を目指さない」「最難関校」を目指さないという意味ではなく、勉強の「質」にこだわるという選択肢です。
この勉強の「質」にこだわるという選択肢は、あまりピンとこない方もいるかもしれません。
ただ「あまり子供に負担をかけたくない」ことからしても、またモチベーションのアップについても有力な選択肢になり得ます。
たとえば、4年生と5年生には目に見えないハードルが存在します。
これは、多くの塾のカリキュラムで、5年生になると学習する量が増え、レベルも同時に上がることで「1つの壁」が存在するわけですね。
このハードル、「1つの壁」によって、今まで4年生までやっていた勉強のやり方なのに、5年生になると通用しないという子供たちが出てきます。
5年生になったとたん、成績が急降下・・・(>_<)
6年生にもハードルが存在します。それは入試問題という壁です。
今まで毎週のテストには対応できた、塾の公開実力テストにも、ある程度対応できた。しかし、入試問題になると、歯がたたずにアタフタする子供たちが出てきます。
このように偏差値だけでなく、各学年においても、「1つの壁」がそれぞれに立ちはだかり、入試の前にどんどん選別されていくわけです。
そういったハードルや「壁」に対応するためには、現状の成績が十分満足だとしても、常に次のステップで対応できるかどうかを考えておかねばならないわけです。
成績で見れば、ある段階でOKでも、次の段階に行けば、通用しないという問題が出てくる可能性があるからです。
そういう観点から考えれば、各学年の壁についても、これからの選択肢についても、勉強の「質」にこだわるを追求するのもありだと思うのです。
では、勉強の質とはなんだ?ということになるわけですが、例えば
「今の勉強時間」を増やさず「勉強のやり方」を変えることで成績アップを目指すとか。
極端にいえば、「今の勉強時間」を減らして、成績をアップすることを考えてみる。
実際のところ、今の勉強時間を減らすことはあまり勇気も出ないと思いますので、現実的ではないかもしれません。
であれば、
◆今の勉強時間はそのままで、もっと成績を上げられないか?
◆今よりももっと効率的にこなす方法はないか?
◆授業を聞いてくれば、8割はOKとできないか?
◆3回反復をしないで1回で済ませて、かつ身につける方法はないか?
など、「勉強量」を増やして上の志望校を目指す、成績を上げるのではなく、今のまま、「勉強のやり方」「勉強の中身」をかえて成績をアップする。
これってお子さんのモチベーションアップには大いに火をつけます。
ある意味で、ラクができないかと考えていくわけですが、ラクをする方法を考えるのはラクじゃないんですね。
レベルが高いことなんです。だからこそ、子供に火をつける。
「勉強のやり方」「勉強の中身」をいかに効率的にするか?
なにせ今と同じ勉強量で、できれば減らして成績をアップしたいと考えるわけですから、達成するには、試行錯誤とテストを受けての検証など親の協力は不可欠です。
でも、それくらいの気持ちで、5年のハードルに備え、6年のハードルに備えることが結局は「最難関校への合格」にも近づくことになる。
多くの方は「勉強量」を増やして成績アップを目指します。勉強量を増やすのは、子供にとっては大変なことですし、その努力はすばらしいと思います。
が、「勉強量を増やす」は、学年が上がり、レベルが上がり、量が増えれば、必ず限界がくる。
もっといえば、大学入試になって中学・高校入試よりも範囲が広がり、量もはるかに越えて膨大になれば、「量の勉強」だけでは必ず行き詰まる。
与えられる時間は皆同じで勉強も毎日24時間できるわけではありませんから。
そこに一言で言えば「質」、いかに短時間で効率よくやるかという問題が必ず出てくるのです。
それを今考えておくか、それとも問題になって考えるのか。その違いが実はもう小4の段階で見えにくいけれど、「出題」されているということなのです。
志望校は今のままで、さらに成績アップを目指す
このことについて、今一度考えてみてほしいと思います。そして、今の勉強は無駄がないか?もっと短縮できないか?と考えてみるのです。
実はその道が結果的に最難関校をいつの間にかグッと引き寄せていることにもなる。そうストロングは思っています。
さあ、塾ではすでに新学期を迎えてそろそろ新しい壁が見えてくる頃です。
そのとき、あなたはどうする? そこが問われるのです!!